
骨を守るための具体的セルフケアガイド
骨粗鬆症予防には「検査だけ」でなく、日常生活に取り入れられる習慣の積み重ねが重要。ここでは具体的な行動レシピをご紹介します。
骨を健康に保つためには、単にカルシウムを摂るだけでは十分ではないということが、近年の研究により明らかになっており、摂取した栄養をしっかり吸収し、骨を育てるためには栄養・運動・生活習慣・検査といった複数の要素を組み合わせて、日々の生活に根付かせることが大切だと言われています。
まず基本となるのは、DXA検査によって自分の骨密度を把握すること。検査結果から、現在の骨の状態や将来的なリスクを数値で確認することで、的確な対策が可能になります。
栄養面では、カルシウム(牛乳、小魚、小松菜など)を毎日700~800mg以上摂取するのが理想とされています。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンD(鮭、きのこ、日光浴)も重要です。さらに、たんぱく質(肉、魚、豆類、卵)は、体重1kgあたり1~1.2g摂取し、骨形成を支えるミネラル(マグネシウム、亜鉛)もバランス良く取り入れ、必要な栄養素を過不足なく摂りましょう。
運動面では、ウォーキング・スクワット・かかと上げなどの“骨に衝撃を与える”活動が効果的です。週に3回以上の実施が推奨されており、加齢による骨密度の減少を緩やかにすることが分かっています。また、毎日の運動は難しいという方は、姿勢を意識した日常生活(背筋を伸ばす、骨盤を立てて座るなど)から始めてみてはいかがでしょうか。姿勢という日常動作も、背骨の圧迫骨折予防や骨への刺激に一役買っています。
生活習慣としては、禁煙・節酒が基本です。喫煙は骨の血流を悪化させ、骨芽細胞の働きを阻害します。過度のアルコール摂取もカルシウム排泄を促すため、控えめにしましょう。特に注意したいのが、極端なダイエットや偏食です。体重の急激な減少は、骨密度の急降下を招く要因となります。骨は20代をピークに徐々に減少するため、40代以降は“守るフェーズ”に入ります。
骨粗鬆症によって骨がもろくなると、衝撃で骨折を起こしやすくなります。特に最初の骨折(例:脊椎や大腿骨)が起きた後、短期間で次の骨折を誘発する現象は「ドミノ骨折」や「骨折の連鎖」と呼ばれています。
たとえば、脊椎椎体の骨折が起こると、姿勢が崩れて歩行バランスが悪化し、それが股関節や手首の骨折につながることがあります。このような連鎖は、60歳以上の女性に多く、初回骨折後の1〜2年以内が最も危険とされています。
そのため、1回目の骨折を「合図」と捉え、早期にDXA検査を受けて骨密度の状態を把握し、治療や予防策を始めることが極めて重要です。
定期的なDXA検査によるモニタリングを続け、必要に応じてサプリメントや医師の指導を受けるのも有効な手段です。こうした日々の積み重ねが、将来的な骨折リスクを減らし、健康で自立した生活を続ける基盤となります。